町田康さんと寺門孝之さんの『猫とねずみのともぐらし』

 
 妻が借りてきた絵本を先週、読んだ。町田康さんが文章を書き、寺門孝之さんが絵を描いた『猫とねずみのともぐらし』。これは、グリム童話をもとにしたものだそうだが、おそらく、町田康節を上手にまぶされているのだと思った。
 おそらくと書いたのは、原作のグリム童話を僕が読んでいないことによる。さらに、町田康さんらしいアレンジが効いているであろうことは、これまで僕が町田作品をいくつか読んできていることからの推測による。
 子どもがいる方の読み聞かせはもちろん、町田康ファンにもおすすめしたい絵本だ。ディープな町田ファンでない人も楽しめると思う。いや、町田康さんの小説を読みたいと思いつつ、独特の文体やリズムに少なからぬ抵抗を持ち、手を出しづらく感じていた人に「入口」的な一冊としてどうだろう。
 
 
文:町田康
絵:寺門孝之
発行:フェリシモ出版(おはなしのたからばこ)
 

 
 

 
 

Yasu
  • Yasu
  • デザイナーを経て、クリエイティブディレクター、コピーライター、ライターに。「ベースボール」代表。広告&Web企画・制作、インタビュー構成をはじめ『深川福々』で4コマ漫画「鬼平太生半可帳」連載中。書籍企画・編集協力に『年がら年中長嶋茂雄』など。ラフスケッチ、サムネイル作成、撮影も。