村上春樹とヤクルト・スワローズ詩集について
2019-07-17
雑誌『文學界』の「ヤクルト・スワローズ詩集」を読んだ。
これは、村上春樹さんがデビューからまだ間もない頃に
自費出版した「ヤクルト・スワローズ詩集」に掲載した詩を
紹介するとともに、その詩集に収められなかった、
「ヤクルト・スワローズ詩集」刊行後に書かれた詩も掲載。
詩を載せるだけではなく、村上さんによるヤクルト・スワローズや
神宮球場への思い、さらに村上さんが少年時代を過ごした神戸での
阪神タイガースや甲子園球場への想い出などが語られている。
私はそれらを読み、村上さんの文章の魅力をあらためて噛みしめるとともに、
この人の腰の低さ(世界的な作家になっても偉ぶらず、それでいて、
へりくだり過ぎるわけでもない)に感心した。
また、ユーモアとサービス精神にあふれた文章にふれ、
あらためてそれらの大切さを認識した。
つまり、なんというか、村上さん本人が文章を書いていることを楽しんでいる
のが伝わってくるのはもちろんのこと(書かれている中身すべてが
楽しげな内容というわけではない)、それを読む(『文學界』を手に取って読む)
人への「ユーモアとサービス精神」に富んでいる、ということ。
あれほどの作家である村上さんでさえ、
両手からあふれるほどの「ユーモアとサービス精神」と作品に込めているのだ。
私のような者が、「ユーモアとサービス精神」を持たないで、
誰に何が伝わるというのか。
そう、私に教えてくれた気がする。
村上さんとヤクルト・スワローズにありがとう、阪神ファンのはしくれより。