学生漫画家、東京でカンヅメに
タナカカツキ著の『マンガ サ道 マンガで読むサウナ道(3)』を読んで、このブログを1回書いたが、書き忘れたことがあって、また筆を取ることにした。あ、「筆を取る」と書いたが、実際は筆でも万年筆でもボールペンでもシャープペンシルでもなく、アップルのノートブックで書いているのだが。
で、今回取りあげたいのは、この単行本に入っている13編のうちの、この本での4編目。「session 27 あの頃、サウナがあったなら」という回(巻?)だ。
この中で、タナカカツキ自身をモデルにしているのであろう、学生漫画家が東京のホテルでカンヅメになる場面がある。
カンヅメについては、作中にこのような下りがある。「カンヅメとは作家が手中して作業できるように出版社が用意した旅館やホテルの一室に作家を軟禁すること」
そして、タナカカツキは作中でこう続ける。「カンヅメになれば人気作家の仲間入りだと当時の私は思っていた」
で、カンヅメになったが漫画家が、そのカンヅメの効果によってうまくいくのかどうか。そこは、実際にこの作品を手に取って読んでいただきたいところだが、私が読んでいて、あれこれを思いを馳せたのは、純粋に同作を読んだ感想とは別にある。
というのは、タナカカツキと私は大学時代(京都精華大学)の同期生で、学生時代に漫画を書いていることも知っていたし、タナカが暮らしていた下宿(今はそう呼ばないのかなぁ)も、私の下宿から歩いて10分ほどの距離だった。
で、なんとなくは、タナカカツキが漫画を描いていることは知っていたし、タナカの漫画も当時から何作か読んでいたが、東京でカンヅメになっていることまでは知らなかったし、そうか、こんなふうにやっていたのか、となんだか懐かしい気持ちになったのである。
学生時代、我々が暮らしていた京都市左京区から東京へ、おそらく夏休みだったのではないかと思うけど、たしかにそうだろう、学生漫画家にとっては憧れといいうか、ちょっとばかり興奮できるイベントのようなものだったろう。
この『マンガ サ道 マンガで読むサウナ道(3)』はタイトルからわかるようにサウナを絡めたもので、サウナの魅力があふれるほどに描かれているが、それとは別に、漫画家のカンヅメというものが描けれていて興味深いものだった。1冊を通して、「漫画家のカンヅメ」について深堀りしているというわけではないが、気になる人はぜひとも手に取ってみてほしい。
タナカカツキ
『マンガ サ道 マンガで読むサウナ道-(3)』(モーニングKC)