「わたし探し」より「かかし探し」。ピート小林さんのローカル線主義
「はなまるマーケット」を昨日、ひさしぶりに観た。ピート小林(小林直道)さんが出演していたからだが、『カカシバイブル』という書籍を出すほど、案山子(かかし)の追っかけにハマっているピートさんの姿が、実によかった。
岐阜だったか、長野だっかで(どっちも違ったかも。記憶があいまいですいません)、1年ぶりくらいで再会した案山子に抱きつき、案山子の作者の女性とも顔なじみになっていたり。
そもそも、案山子の発見方法がいい。ローカル線の各駅停車から車窓を眺め、案山子らしき人物(?)を見つけると、下車してあぜ道や地元の生活道路をてくてく歩く。インターネット全盛時代に、極めてローテクな、というかアナログな追っかけスタイルなのだ。
ピートさんによる、案山子を探す旅の様子を見ていて、なんだか楽しい気持ちになった。ピートさんの案山子追っかけは、はっきりいって効率がわるいし、案山子になかなか出会えないこともあるだろう。ローカル線に端から端まで揺られる間に、何人の案山子に出会えるかもわからない。
でも、そんなこといいじゃないか。そんな、非効率な旅があってもいいじゃないか。目的をあらかじめ明確にして、飛行機や新幹線で最短ルートで突き進むこともわるくないけど、のんびり速度の鈍行だから見えてくる景色もあるし、だからこそ出会える人も、もちろん案山子もきっといるはず。
テレビを前に、なんだかホッとしている自分に気づいた。効率主義路線とは、別の路線をのんびり進む、ちょっと変だけど、かっこいいおじさん。ピート小林さんが、そんなふうに思えてきた。
「わたし探し」をして道に迷っている人もいるかもしれないけど、いい歳して、楽しそうに「かかし探し」をしているおじさんは、たぶん、ピートさんだけではないだろうか。なかなかマネのできない、かっこいい生き方だと思った。
仕事に追われ、いろんなものが見えなくなっているような気がしたとき、小声で言ってみようかな。「効率主義なんて、くそくらえ!」
あ、ピートさんが言っていたわけでもないのに、そんな言葉が出てしまった。
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