寄藤文平さんから、春のチャンスへ
あることに携わらないことになった。これを悲しいことととらえることもできるけれど、新しいことを始めるチャンスだと考えることもできる。そう、春は出会いの季節だし。
上記のこととは関係ないが、一昨日購入した寄藤文平さんの本の一部を引用してみる。
(略)
この壁は、デザインでなく経済の問題だと思った。僕はデザインの本を読むのをやめて、経済の本を集中的に読んだ。いろいろな本があったけれど、どの本も、たったひとつのことしか言っていないように思った。
「人の役に立たなければ、金はもらえない」
タッチがすぐに消費されてしまうのは、人の役に立っていないからだ。僕はそう考えた。本当に必要なものは消費されたりしない。
タッチや絵の印象といったものを取り除いたとき、絵とはなんなのか。自分の絵は役に立つのか。
僕にできそうなことは、つまらないと思われていることを面白く伝えること。他には見あたらなかった。
そしれ、現在に至る。
(『絵と言葉の一研究』寄藤文平さん著、美術出版社、P.50)
(略)
ラジオの中の先生は「あるものとあるものが結びついたら、それはまったく別のものなんですよ」と答えた。「燃焼」とかなにかとか、他にもいろいろ答えていたけれど、そこは覚えていない。
「結びついたら、それはまったく別のもの」
そのひと言だけが、記憶に残った。
水素と酸素が結合すると、水素とも酸素ともまったく別の性質のものになる。
これとよく似たことが絵と言葉にもいえるように思う。絵と言葉は同じではない。絵には絵の、言葉には言葉の性質がある。そして、絵と言葉がきちんと結びつくと、絵でも言葉でもない「なんか変なもの」になるのだ。
(『絵と言葉の一研究』寄藤文平さん著、美術出版社、P.56)
特に強く心に残ったのは、だいたいこの2カ所だ。だいたい、と書いたのはどの行までさかのぼりながら引用するのがいいか迷ったからである。